映画「ディオールと私」

映画「ディオールと私」を観た。  クリスチャン・ディオールのデザイナー、ラフ・シモンズが、就任して初めてのコレクションを発表するまでの8週間を追ったドキュメント作品で、創造することの喜びと、障害となるものとの戦いが描かれ…

人生は続いていく

少し前に「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」というドキュメント映画を観た。  ローマという都市で生活する人々の日常を切り取った作品で、登場人物たちが、自分の家族や仲間などと話をしている様を撮っている。時に嘆いたり、ぼやい…

映画「リヴァイアサン」の衝撃

ドキュメント映画「リヴァイアサン」を観てきた。「これは一体、どう観たらいいんだろう」と久しぶりに戸惑う作品だった。  そもそもこの映画を観に行こうと思ったのは、予告編を観たのがきっかけだ。映像と音響が溢れ出てくるような圧…

孤高であることの強さ

ヘルマン・ヘッセの『わがままこそ最高の美徳』は、「わがまま」と「個性の尊重」をテーマとする詩文を収めたものである。  改めて、彼の個としての強さ、孤独を引き受ける潔さに感じ入ると同時に、路上で立ち往生している若者を励まし…

等しく美しい世界

国立新美術館で開催されている「アンドレアス・グルスキー展」に行ってきた。きっかけは展覧会のポスターになっていた、カミオカンデ(ニュートリノの観測装置)をモチーフにした作品に惹かれたのだ。    写真であるけれど、人間の視…

キース・ジャレット・トリオ

キース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネットのライブに出かけた。トリオ結成30周年記念公演と銘打たれたライブは、トリオでの最後の来日公演となるらしい。私にとっては、最初で最後のトリオ公演だ。  会場…

今に存在する実践

先日、とある研修プログラムに参加した。テーマは「今に存在する実践」。その練習として、「5分間のアイコンタクトを保って、今に存在する」というワークを体験する。ペアになって向き合って座り、お互いの目を合わせて5分間を過ごすと…

意識と無意識の調和-ポロック展

東京国立近代美術館で開催されている「ジャクソン・ポロック展」に出かけた。 かの有名な「インディアンレッドの地の壁画」は、やはり格別だった。全体を視野に入れようと離れて観ると、絡み合う線が有機的に立ち上がり、凄まじいエネル…

作品におけるリアリティ -映画「pina」

ピナ・バウシュに捧げられた映画「pina」を観てきた。 見終えた後、久しぶりに拍手を送りたい気持ちに駆られた。 実のところ、ピナのことをほとんど知らない。でも、彼女が他のダンサーと違うと言われているのは知っていた。   …

痛みが教えてくれるもの

1週間前に親知らずを抜歯した。腫れや痛みはだいぶ落ち着いたものの、いまだに鈍い痛みが低音のように響く。  耐えられないほどではない。何かに集中すれば、痛みから注意が離れるだろうし、「ちょっとした痛みで弱音を吐いてはいけな…